鈴木誠也がカブスへ、4カ月待った夢の出発点


ポスティングシステム活用し移籍、労使紛争で交渉長引く

鈴木誠也がカブスへ、4カ月待った夢の出発点

カブスへの入団会見後、ユニホーム姿で撮影に応じる鈴木=18日、アリゾナ州メサ(時事)

 昨年11月16日。広島からポスティングシステムを利用して米大リーグ挑戦を表明した鈴木は「いろんな人が協力してくれて、僕が挑戦できる。覚悟を持ってしっかりやりたい」と力強く誓った。カブスとの契約が合意に至り、移籍が決まるまで実に4カ月。朗報を待ち続けた期間は不安と闘っていた。

 大リーグの労使紛争で、12月にロックアウト突入。鈴木と獲得希望球団の交渉も期間を21日残して止まった。「こうなることは分かっていた。いつかは終わる」と自然体で語ったが、先行きの見えない状況には複雑な表情も見せた。そんなモヤモヤを振り払うように、自主トレでは精力的に体を動かした。

 年明けは沖縄で始動。1月末にはスーツ姿でマツダスタジアムを訪れ、広島の球団幹部や自主トレ中の選手らに別れのあいさつをした。広島からは渡米までの間、球団施設の利用を許可されていたが、出身地の東京都内に練習の場を移した。「もうこっち(広島)には来ないので」。その言葉には決意がにじんでいた。

 2月6日に自身のインスタグラムを更新。同じマネジメント事務所に所属する上原浩治氏(元巨人、レッドソックスなど)が打撃投手を務めた練習の様子を投稿し、「ぜいたくに打たせてもらいました! ありがとうございました!」とつづった。動画の中では鋭い打球を飛ばしていた。

 交渉再開まで時間はかかったが、ぶれずに鍛錬を続けたことで体は仕上がっている。日本球界の期待を背負う27歳。野球人生最大の挑戦へ、ようやくスタートラインに立った。