福島県沖地震から一夜、自動車・電機で工場停止
ビール出荷困難、通信も混乱、東北を中心に影響広がる
福島県沖を震源とする地震の発生から一夜明けた17日、東北地方を中心に自動車や電機をはじめとする多くの工場が生産をストップするなど、幅広い業種で企業活動が停滞した。コンビニエンスストアやスーパーでも商品の落下などで営業休止を余儀なくされた。携帯電話が一部で利用できなくなり、荷物の運送にも遅れが生じるなど、影響は身近な生活インフラにも広がった。
トヨタ自動車東日本(宮城県大衡村)では16日夜の発生直後に3工場の稼働を停止。棚から部品が落下する被害があった。ソニーグループが保有する宮城、山形両県の三つの製造拠点も安全確認のため一時運転を見合わせた。三菱ケミカル(東京)は千葉、茨城両県にある化学品の一部プラントで操業を休止。サッポロビール仙台工場(宮城県名取市)でも設備の破損や倉庫の荷崩れで出荷が困難になった。
日本製紙は、宮城県の石巻市と岩沼市にある工場を停止し、出版や新聞の用紙の生産に影響が出た。山崎製パンも設備の不具合があり、仙台工場(宮城県柴田町)を一時停止した。
「セブン-イレブン」では商品陳列の乱れや従業員の出勤の遅れなどにより、宮城、福島両県などにある約80店舗が営業を中断。イオングループでは建物にひびが入ったりスプリンクラーの破損で水浸しになったりする被害で、30店程度が営業休止や一部区画の休業などに追い込まれた。
NTTドコモとKDDIは福島県の一部地域、ソフトバンクと楽天モバイルは福島、宮城両県の一部で停電や設備故障を原因とする障害が起き、各社とも復旧作業に追われた。日本郵便では計24の郵便局が窓口業務を停止。ヤマト運輸でも東北や北海道を発着する荷物の一部で半日から1日程度の遅延が出る見込みとなった。