ウクライナ難民、退避先での両替でも苦難


フリブナの価値が下落、経済的な負担が難民に追い打ち

ウクライナ難民、退避先での両替でも苦難

ポーランド南部クラクフの中央駅構内で、両替所に並ぶウクライナから逃れて来た人々=10日(時事)

 ロシアが激しい攻撃を加えるウクライナから隣国ポーランドに逃れた人々が、生活資金として必要な現金の確保で苦難を強いられている。肉体的にも心理的にもつらい逃避行を終えて一息ついたのもつかの間、経済的な負担が追い打ちをかける。

 ウクライナからの難民でごった返すポーランド南部クラクフの中央駅。構内の両替所には、現金を調達しようとするウクライナ人が列をつくる。10日に表示板でポーランド通貨ズロチとウクライナ通貨フリブナの販売レートを見ると、1ズロチ(約27円)は11フリブナ。10フリブナだった前日から価値が1割下落していた。

 インターネットの為替情報サイトでは、一般的なレートは1ズロチ=7フリブナ前後だ。駅の両替所を訪れたウクライナ人男性マルクさん(26)は「普段よりレートが悪い」と言葉少なで、交換すべきか、ためらっている様子だった。

 地元メディアによれば、ポーランド国内の両替所では、フリブナに対し極端に低いレートを設定したり、1人当たりの交換限度額を決めたりする事例がある。人権団体の関係者は「金銭的な影響だけでなく、ウクライナ人の尊厳を損なう行為だ」と批判。ジョブロ法相もツイッターで「苦しむ人の弱みにつけ込むのは認められない。難民への詐欺的行為には検察が対処する」と強調した。

 ウクライナ人が周辺国へ逃れる動きはやむ気配がなく、とりわけポーランドは11日までに最多の150万人以上を受け入れた。今後も難民が急増する恐れがある中、現地メディアによると、ポーランドの金融専門家は「銀行は早晩、大量に流入するフリブナを受け付けることができなくなるだろう。両替所では既にそうなり始めている」と危惧している。(クラクフ〈ポーランド〉時事)