旧ソ連製戦闘機ミグ29、ウクライナに間接供与へ


ポーランド、独の米軍基地に移送へ、米国防総省は反対

旧ソ連製戦闘機ミグ29、ウクライナに間接供与へ

ポーランド空軍の戦闘機ミグ29=2017年8月、ポーランド・ラドム(EPA時事)


 
 ポーランド外務省は8日、同国が所有する旧ソ連製の戦闘機ミグ29全機をドイツのラムシュタイン米空軍基地に移送し、米国が自由に使用できるようにする用意があると発表した。ロシアと戦闘を続けるウクライナに間接的に供与するための準備とみられる。ただ、米国防総省は「支持できない」と反対の立場を示しており、供与が実現するかは不透明だ。

 軍事情報誌ジェーンズによると、ポーランドが保有するミグ29は単座型、複座型合計で27機。実現すればロシアの侵攻開始以降、北大西洋条約機構(NATO)諸国からのウクライナへの戦闘機供与は初とみられ、戦況に影響する可能性がある。

 ただ、ミグ29がウクライナに向かう途中でロシア軍の攻撃を受けるなどすれば、NATOとロシアの衝突に発展する恐れもある。このため米国は、移送方法などについて検討を続けているもようだ。

 ポーランドはロシアを刺激することを避けるため、戦闘機の提供に慎重だったが、ブリンケン米国務長官は6日、全面協力すると表明。米メディアによると、間接供与の形にした上で、ポーランドには見返りとして戦闘機F16を好条件で提供する案が検討されていた。

 ポーランドのモラウィエツキ首相は8日、「兵器供与はNATOが全会一致で決定する必要がある」と述べ、自国単独で決めることではないと強調した。ポーランドは他のNATO諸国にも同様の措置を取るよう呼び掛けている。

 米国防総省のカービー報道官は声明で「米国が自由に使える(ポーランドの)戦闘機がドイツの米軍基地を飛び立ち、ロシアと戦闘状態にあるウクライナ領空に入ることは、NATO全体に深刻な懸念を引き起こす」と指摘。ポーランドやNATO加盟国と協議を続けるとしつつも、「ポーランドの提案は支持できるものではない」と否定的な見方を示した。(ベルリン、ワシントン時事)