塩野義製薬、新型コロナの飲み薬を承認申請
国産初、安定供給へ一歩、今年3月までの承認申請目指す
塩野義製薬は25日、新型コロナウイルスの飲み薬について、厚生労働省に製造販売の承認を申請したと発表した。承認されれば国産の飲み薬は初めてとなり、国内での治療薬の安定供給につながりそうだ。同社は、臨床試験(治験)の完了前に実用化を認める「条件付き早期承認制度」の適用を求めている。
飲み薬はウイルス増殖を抑える錠剤で、軽症者ら向け。感染初期に1日1回、5日間服用する。塩野義は昨年9月に最終治験を開始。変異株の「オミクロン株」感染拡大後の1~2月に428人を対象にした治験では、体内のウイルス量が減少する効果を確認した。症状のうち、オミクロン株に特徴的な鼻水やせきなどについては、明らかな改善効果が認められたとしている。
条件付き早期承認は、治験が難しい医薬品について発売後に有効性や安全性を改めて評価する条件で承認する制度。塩野義は今年度中の供給開始も視野に入れ、準備を進めている。3月末までに100万人分、来年度には1000万人分以上を生産する計画だ。
一方、開発中のコロナワクチンは年3000万人分の生産体制を整備しており、今年3月までの承認申請を目指している。