高木菜那、マススタートでも“魔物”再び
団体追い抜きと同じく最終カーブで転倒、無情の結末に
2冠から4年。高木菜が2種目で連覇を目指した北京五輪は、無情の結末を迎えた。女子団体追い抜きと同じく、マススタートでも最終カーブで転倒。「全然駄目なレースをしてしまった」と自分を責めた。
16周のうち4周ごとの通過上位選手がポイントを獲得し、組の8位まで決勝に進む1回戦。初代女王へのマークは厳しかった。前に出ようとしても、155センチの小さな体。大柄な他国の選手にガードされ、すり抜けることができない。通過ポイントはゼロ。最後の着順に望みを懸けざるを得なくなった。
最終周をトップで入り、勝負を仕掛けた。後続を振り切って最後のカーブを抜けようとした瞬間、バランスを崩した。「もう左脚が言うことを聞かなくなっちゃって」。踏ん張ることもできず、「スケートが持っていかれたという感じ」になったという。
新型コロナウイルスの影響に加え、1500メートルなどを重点的に強化してきたため、この2シーズンはマススタートの実戦から遠ざかっていた。海外勢と長く戦っておらず、「どうしていいか分からなくなった」。連覇を周囲から期待されるのは理解していたが、十分な準備をして臨める状況ではなかった。
右膝の故障に悩まされた4年前とは違い、肉体的には万全に近い状態で迎えた北京五輪。メダルを狙った1500メートルは8位にとどまり、完全燃焼はできなかった。団体追い抜きは優勝目前で転倒。名誉挽回を期した最終種目のマススタートも悔やまれる結果に終わった。妹の美帆は出場5種目で金1個、銀3個。明暗がくっきり分かれる大会になってしまった。(時事)