甘利元担当相、日米がアジア新経済圏牽引を


フロマン氏と講演、米TPP復帰は望み薄、代替策の実現を

甘利元担当相、日米がアジア新経済圏牽引を

環太平洋連携協定(TPP)交渉の閣僚会合の共同記者会見に臨む甘利明TPP担当相(左、当時)とフロマン米通商代表部(USTR)代表(中央、同)ら=2015年10月、米アトランタ(EPA時事)

 2015年10月の環太平洋連携協定(TPP)交渉合意を主導した甘利明元担当相とフロマン元米通商代表部(USTR)代表は17日、オンラインで講演し、日米両国がインド太平洋地域で新たな経済圏構築をけん引すべきだと強調した。国際経済秩序に挑戦する中国への対抗策が必要との認識でも一致した。

 甘利、フロマン両氏は、トランプ前米政権が離脱したTPPに米国が近く復帰する可能性は低いとした上で、バイデン政権がTPPの代替策として提唱する「インド太平洋の新たな経済枠組み」の早期実現を訴えた。日米交流機関「ジャパン・ソサエティー」のイベントで語った。

 甘利氏は、世界の成長センターとされるアジア域内の経済統合は「国際社会にとって死活問題」だと指摘。対中国をにらんで「民主主義や法の支配といった西側諸国の価値観に沿う基準づくり」を急ぐよう促した。フロマン氏は優先課題として、経済安全保障の観点から「デジタル経済とサプライチェーン(供給網)、輸出管理」を挙げた。

 中国のTPP加入申請に関連し、甘利氏は「日米がつくった極めて高水準な枠組みを中国は現状で絶対にクリアできない」と明言。中国はアジア15カ国による地域的な包括的経済連携(RCEP)協定にも参加したが、「RCEPの低い基準すら守れないならば、TPPは1次審査以前に脱落する」と厳しい見方を示した。(ワシントン時事)