豪政府、コアラを「絶滅危惧種」に指定
大規模森林火災などで危険増大、都市化なども要因に
オーストラリアのリー環境相は11日、同国東部に生息するコアラについて、近年の大規模森林火災などで絶滅の危険が増大したとして、「絶滅危惧種」に指定したと発表した。豪州の代表的な動物で国内外を問わず人気の高いコアラの保護に向け、全力を挙げる姿勢を鮮明にした。
発表によると、絶滅危惧種に指定されたのは、東部ニューサウスウェールズ(NSW)、クイーンズランド両州と首都キャンベラがある地域に生息するコアラ。これまでは絶滅のリスクが1段階低い「危急種」だった。
リー環境相は、2019~20年にかけて起きた大規模森林火災のほか、過去20年間に進んだ都市化や生息地の消滅、病気のまん延が今回の見直しにつながったと説明。今後の開発事業に関わる環境への影響評価では「コアラの生息数も考慮することになる」と述べた。連邦政府は先月、コアラ保護の予算を今後4年間で5000万豪ドル(約42億円)増やすと発表。生息地の再生やクラミジアといった病気への対応などを進める。
NSW州議会は20年、大規模森林火災でコアラ生息地の2割以上が深刻な打撃を受けたと指摘。州政府が介入しなければ50年までに州内で野生のコアラが絶滅すると警告した。21年9月にはコアラが3年間で3割減少したとの団体調査も公表されている。(シドニー時事)