ジャンプLH、小林陵侑が胸張れる銀メダル


「いい内容」納得の飛躍、船木和喜以来の個人メダル2個

ジャンプLH、小林陵侑が胸張れる銀メダル

ジャンプ男子個人ラージヒルで銀メダルを獲得し、日の丸を掲げる小林陵侑=12日、張家口(時事)

ジャンプLH、小林陵侑が胸張れる銀メダル

ジャンプ男子個人ラージヒル2回目、小林陵侑の飛躍=12日、張家口(時事)

 ノーマルヒルでは飛ばなかった本戦直前の試技を飛んだ。前日までに好感触をつかんだとは言えなかった小林陵だが、最後の試技1本で仕上げた。感覚が整えば、あとは実力を見せるだけだった。

 前日の予選で上位選手のスタートゲートは19番だったが、この日の1回目は一つ高い20番。速い助走速度から気持ち良く飛距離を伸ばす選手が続出した。失敗できない重圧の中、安定した助走から踏み切り、素早く決まる空中姿勢でぐんぐん進む。着地できっちりテレマークも入れて最長不倒の142メートル。「風も落ち着いていて、すごく良かった」。納得の1本でトップに立った。

 2位リンビクと飛距離にして約1・2メートル差で迎えた2回目は最後に飛んだ。直前にライバルが140メートルの大ジャンプを見せたのに対し、小林陵は138メートル。優勝のための目安となる緑のラインにわずかに及ばず、好勝負の結果は2位だったが、「2本とも集中していい動きができた。リンビクがすごくいいジャンプをしたのできょうは完敗」と穏やかに話した。

 飛距離と飛型点を両立させるのが強み。平昌五輪で飛型審判員を務めた西森勇二さんは「以前は着地で左右のぶれがあったが、うまくなっている」と言う。スタンスが狭すぎず、広すぎず理想的な開き方で、スキー板のエッジが立たず雪面にぴたりと着地する。この日は2回ともハイレベルな飛型点だったが、同じく高得点をマークしたリンビクには合計点で及ばなかった。

 2冠こそ逃したが、重圧を感じさせず力を出した。日本勢がジャンプ個人種目で二つのメダルを取ったのは、1998年長野大会の船木和喜以来。十分胸を張れる結果に、「世界選手権では毎回(調子が)合わないという感じだったけど、五輪は相性が良い」。25歳はやり切った表情をしていた。(時事)