浅田が女王に返り咲き、試練乗り越え達成感
1万8191人の大観衆が手拍子、世界フィギアで
終盤のステップ。1万8191人の大観衆の手拍子を背に、力強く、華麗に踏んだ。「こんなにたくさんのお客さんの前で滑ることができて幸せ」。演技を終えると、浅田は自分を納得させるようにうなずいた。
ソチ五輪で見せた会心のフリーとはいかなかった。歴代世界最高点をマークしたSPでは完璧に決めた冒頭のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)や3回転の2連続の一つ目など、いくつかのジャンプが回転不足と判定された。2回転半は着氷が乱れ、連続ジャンプにできなかった。
だが、浅田には大きな問題ではなかった。大事なのは自分の手応え。「五輪よりは一段下がったけど、点数とか(ジャッジに)何か取られたとかではなく、SPもフリーも自分の精いっぱいの演技ができた。最高です」。ソチの悔しさを晴らし、得られなかった充実感に満たされた。
バンクーバー五輪後から、滑りを基礎から立て直した。最愛の母、匡子さんを失う悲しみにも直面したが、試練を乗り越えた4年間を、4年ぶりの世界女王に返り咲いて終えた。
「(積み重ねてきたものが)ようやく花開いたかな。悔しいこと、うれしいことがあったが、改めてフィギュアスケートっていいなと思った」。集大成と位置付けたシーズンだったが、何か原点に立ち返ったかのような口ぶりだった。
注目される進退については「まだハーフハーフです」と改めて保留した。しばらくは達成感に浸ってもいいはずだ。