反戦の象徴「ゲルニカ」、国連本部に戻る
ピカソの代表作を再現、保存処理が完了し所有者が再貸与
巨匠ピカソが戦争の悲惨さを描いた代表作「ゲルニカ」を再現したタペストリーが5日、約1年ぶりにニューヨークの国連本部に戻り、安保理議場前に再び飾られた。タペストリーは昨年2月、所有するネルソン・ロックフェラー・ジュニア氏からの要請で撤去されていた。
撤去理由は明らかにされてこなかったが、ジュニア氏はニューヨーク・タイムズ紙に「当時は伝達ミスがあった」と述べ、作品の洗浄と保存処理のためだったと説明した。タペストリーは国連に再貸与され、将来的には米史跡保護団体ナショナル・トラスト(本部ワシントン)に寄贈する意向だという。
ゲルニカは、スペイン内戦中に北部バスク地方の町ゲルニカでドイツ軍が行った無差別爆撃を題材に描かれた。ジュニア氏の父、故ネルソン・ロックフェラー元ニューヨーク州知事がタペストリーの制作を依頼。1984年に国連に貸し出され、本部ビル改修の一時期を除き、85年から国連で反戦の象徴となっていた。(ニューヨーク時事)