中露首脳が会談、NATOの拡大反対で一致
対米共闘を誇示、中距離ミサイル配備計画の放棄も要求
中国の習近平国家主席は4日、北京冬季五輪の開会式に先立ち、北京の釣魚台迎賓館で五輪に合わせて訪中したロシアのプーチン大統領と会談した。中露両政府は首脳会談に合わせて発表した共同声明で、北大西洋条約機構(NATO)拡大に反対の立場を表明。ロシアがNATO加盟を目指す隣国ウクライナに軍事圧力をかけ、情勢が緊迫する中、対米共闘姿勢を誇示した。
共同声明によると、中露は、米英とオーストラリアによる安全保障枠組み「AUKUS(オーカス)」に深刻な懸念を示した。米国に対してはさらに、アジア太平洋と欧州での中距離ミサイル配備計画を放棄するよう求めた。ロシアは台湾独立に反対する立場も明らかにした。
新型コロナウイルスの世界的感染拡大で外遊を控える習氏とプーチン氏の対面形式の会談は2019年11月、ブラジルで行われて以来。ロシアはウクライナ情勢に絡み米欧にNATO不拡大などの要求を突き付けており、中国と連携して米欧を揺さぶり自国に有利な条件を引き出したい考えだ。
一方、中国は、新疆ウイグル自治区での人権侵害や南シナ海・東シナ海への強引な海洋進出などで米欧から批判を浴び、北京五輪でも米国と同盟国による「外交ボイコット」に直面。習氏には、「スポーツの政治問題化は根本的に誤りだ」とするプーチン氏との連帯を固め、米国の圧力に対抗する狙いがある。
プーチン氏は会談冒頭、中露関係について「前向きに発展し、前例のない性格となっている」と評価した。両首脳はマスクをせず記念撮影に納まり、親しさをアピール。習氏は今年1月、国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長と会談した際、互いにマスク姿で記念撮影していた。
14年のロシア・ソチ冬季五輪でも外交ボイコットの動きが広がる中、習氏は開会式に出席しており、プーチン氏の訪中には返礼の意味も込められている。(北京、モスクワ時事)