節分イワシを食べて「コロナを追い払え」
豊洲市場でアピール、伝統の風習を盛り上げようと奮闘
節分に合わせ、水産業者がイワシの消費をPRしている。全国的に「恵方巻き」が浸透している中、古くから伝わるイワシを食べる風習を盛り上げようと奮闘している。
関西や関東の一部などでは、2月3日にイワシを焼いて食べたり、イワシの頭部をヒイラギの枝に刺して玄関先に飾ったりする「節分イワシ」と呼ばれる風習がある。焼いたイワシの煙やにおいなどが、邪気払いになるといわれている。
節分は豆まきに加え、縁起物の恵方巻きを食べる習慣が定着。イワシを食べる家庭もあるが、若者などの認知度は上がっていないといい、東京・豊洲市場(江東区)の卸会社担当者は「伝統の風習を守り、消費を拡大させたい」と力を込める。
節分のイワシは、1匹を丸ごと干物にした「丸干し」が主流。同市場には千葉県や愛知県産などの入荷が多く、1月卸値は中心サイズの50~80グラムが1匹30円前後。やや小ぶりだが、「脂乗りや品質は良い」と同市場卸会社。都内では、焼いて調理する丸干しだけでなく、そのまま食べられる洋風のオリーブオイル漬けなどを並べる小売店もある。
近年はサンマやイカが不漁の一方、イワシは豊漁が続いている。新型コロナウイルスの変異株が流行していることもあり、同市場の仲卸業者は「鬼だけでなくコロナも追い払いたいと願いながら、手頃なイワシをたくさん食べて」と話している。