自動運転地図を活用、除雪車に強い味方
車大手出資企業が事業化、作業効率化し人手不足を解消へ
自動車大手10社などが出資する地図データ会社のダイナミックマップ基盤(DMP、東京)は、自動運転向け高精度3次元地図を除雪車に活用し2022年度に事業化する。路面情報を正確に把握して作業効率を高め、除雪に関わる人手不足の解消にも役立てたい考え。
同社の高精度地図は、道路の幅や車線、停止線などの詳細なデータを搭載している。車の位置を正確に推定する技術と組み合わせ、地図上と実際の位置の誤差を数センチ程度に抑えたシステムを開発した。積雪で見えづらいマンホールやガードレールの位置などをあらかじめ認識し、安全で速やかに除雪できるという。
近年、全地球測位システム(GPS)を用いた道路情報の把握が進んでいるものの、誤差が10メートルほど出るため、除雪車の運用では熟練作業員に依存するのが実情だ。地方によっては作業員の高齢化に伴う人手不足が深刻で、高度な除雪車の開発が求められている。
DMPは今月、長野県飯山市で実証実験を開始した。吉村修一社長は「今年度中にさらに複数の場所で行う」と語り、北海道や東北地方での実証実験を想定。「来年度には売り上げ、利益に貢献していく」としている。既に民間の除雪業者に加え、除雪事業の予算を担う自治体などからも地図データの引き合いがあるという。
DMPは、トヨタ自動車など国内の自動車大手各社や地図メーカーが共同で設立。自動運転車に不可欠な高精度地図を作製、販売している。全国の高速道路と自動車専用道路を網羅し、カバー範囲を一般道路にも広げている。