ガソリン補助金で価格高騰緩和、恩恵どこまで
一部で値下げ、買い控えも、寒冷地は灯油高抑制歓迎
政府が導入したガソリンなど燃料の価格高騰緩和策が27日、始まった。石油元売り会社などに1リットル当たり最大5円の補助金を支給し給油所への卸価格上昇を抑制するもの。実際に店頭価格の値下げに踏み切った店舗もあるほか、寒冷地からは暖房に使う灯油への補助を歓迎する声も聞かれる。一方、消費者への恩恵を疑問視する給油所経営者やドライバーも多く、値下げが進むと勘違いした利用者による買い控えも出ていた。
ガソリンや灯油の店頭価格を前日から4円引き下げた札幌市内の給油所「北海道エネルギー札幌大通SS」。市内在住の50代男性は「ガソリンを使わないよう走っているが、少しでも下がってくれたらありがたい」と値下げを歓迎していた。
最新の調査でガソリン価格が全国で最も高かった長野県でも、長野市の「本久セルフ平林SS」で灯油をタンク三つ分購入した60代女性が「コロナ禍でパート先が閉鎖になり苦しい中、灯油も補助対象なのはありがたい」と話した。
ただ、この給油所を経営する「本久」(長野市)石油事業部の池浦正峰氏は、「政府補助できょうの仕入れ価格は抑えられているが、給油客には伝わりにくい」と指摘。実際、利用者からは補助制度への質問が増えているほか、「5円安くなる」との勘違いも見られるという。発動前の24~26日には、値下がりを期待した買い控えで販売量が落ち込んだ。
元売りへの補助金により、店頭価格の高騰緩和を図る今回の仕組み自体を疑問視する声も多い。ガソリン価格が全国で4番目に高かった高知県。高知市内の給油所を訪れた70代の女性は「小売店が値段を決めるので、私たちに恩恵があるのか疑問だ」と語る。
「札幌大通SS」の森浩治所長は、3月末までの時限措置として導入された制度について、「一時的措置でしかない。ガソリン税率の引き下げなど本質的な部分を見直すべきでは」と訴えた。