北京五輪と春節を前に、「ゼロコロナ」に試練
武漢封鎖から2年、経済活動が犠牲に、北京は厳戒態勢
中国政府が2020年1月、新型コロナウイルスの感染拡大が最初に始まった湖北省武漢市をロックダウン(都市封鎖)してから23日で2年を迎えた。約2カ月半に及んだ武漢封鎖を「成功体験」として引き継ぐ中国は、市民生活や経済活動を犠牲にしても感染の連鎖を断つ「ゼロコロナ」政策を続ける。しかし、31日に始まる春節(旧正月)連休と、2月4日に開幕する北京冬季五輪を前に、コロナとの闘いは再び試練を迎えている。
「どうして野菜を買えないの」。多くの住民が警官を取り囲んで訴える。ツイッターには、12月下旬からロックダウンが続く陝西省西安市で不満の声を上げる市民の姿が次々に投稿されている。北京に隣接する天津市ではオミクロン株の拡大に伴う移動制限が続き、春節を前に出稼ぎ労働者が「故郷にも帰れない、仕事もない」と集団で地元政府に詰め寄った。
それでも、中国政府が軌道修正する気配はない。国家衛生健康委員会の梁万年・専門家チーム長は22日の記者会見で「ごくわずかな人の正常な活動を犠牲にする代わりに、広大な地区の生産・生活を維持することは費用対効果が高い」と言い切った。
ただ、今年の春節前後には延べ11億8000万人が帰省などで移動すると予想されている。コロナ前と比べれば4割減だが、前年比3割増。他省からのウイルス流入を懸念する北京市は市民らに「北京で年越しを」と呼び掛け、市中感染が確認された地域からの北京入りを原則認めない。冬季五輪は、チケット販売を見送り、一般客の受け入れを断念した。15日以降、オミクロン株とデルタ株が同時に広がる北京の市中感染者は22日までに39人に達し、緊張が高まっている。
冬季五輪は、海外から流入するウイルスとの闘いも迫られる。選手らはワクチン接種を条件に通常の3週間隔離を免除されるものの、競技会場や選手村など「バブル」内に閉じ込められる。市民には「五輪専用車両との交通事故で仮に負傷者がいても、接触・救助してはいけない」と通知する徹底ぶりだ。
大会組織委員会は11日の記者会見で「バブル内で小規模な集団感染が発生する可能性はある」との認識を表明。一方で「市中に広がることは何としても回避する」と力を込めた。(北京時事)