内戦続いたリビア、大統領選のめど立たず


選挙の法整備遅れ期日確定できず、和平実現に不透明感

内戦続いたリビア、大統領選のめど立たず

大統領選挙の延期に抗議するリビアの人々=2021年12月、東部ベンガジ(AFP時事)

内戦続いたリビア、大統領選のめど立たず

リビア

 東西に分裂し内戦状態が続いた北アフリカのリビアで、大統領選挙の実施のめどが立たない状況が続いている。選管当局は今月24日の実施を提案していたが、選挙の法整備などが遅れ、議会が期日を確定できていない。国際社会が求める和平実現の行方は不透明感を増している。

 リビアでは2011年に中東の民主化運動「アラブの春」に伴い、42年間に及んだカダフィ独裁政権が崩壊。その後内戦に陥った。20年10月に停戦で合意し、昨年3月には暫定統一政府が発足。国連主導の下で昨年12月24日の大統領選に向けて政治プロセスが進められてきた。

 しかし、技術的な問題や治安などを理由に、投票予定日の2日前に延期が決まった。1カ月後の実施を目指したものの、選挙の要件や手順は整備されておらず、政治勢力間の対立も深刻だ。100人近くが立候補を届け出たが、選管は「(発表すれば)民兵に妨害される恐れがある」として、候補者の最終名簿も公表していない。

 ウィリアムズ国連リビア担当特別顧問は今月16日、米メディアに「リビア国民は民主的な政府を選ぶことを望んでいる」と強調。ただ、「妥当かつ可能」な目標として今年6月までの選挙実施を挙げ、一定の遅延はやむを得ないとの認識を示した。地元メディアによれば、選管当局者も新たな有権者登録や立候補審査の準備に「6~8カ月は必要だ」と述べており、投票実現がさらにずれ込む恐れも出ている。(カイロ時事)

リビアの動き
2011年 カダフィ政権崩壊
 12年 選挙で制憲議会選出、移行政府発足

 14年 首都トリポリの制憲議会(西部)とトブルクの代表議会(東部)対立

 15年 国連主導で「リビア政治合意」署名

 16年 シラージュ暫定首相、トリポリ入り

 19年 リビア国民軍(LNA)、トリポリ陥落目指し東部から猛攻

 20年 シラージュ暫定政権とLNAが停戦合意

 21年 シラージュ暫定政権から暫定統一政府へ権力移譲

 同  12月24日の大統領選実施目指すが、結局延期

(時事)