ジョンソン英首相、最大の危機に直面
都市封鎖中のパーティーで謝罪、保守党支持率は28%に
ジョンソン英首相が2019年7月の就任以来、最大の危機に直面している。新型コロナウイルスの流行でロックダウン(都市封鎖)中だった20年5月、首相官邸で開かれたパーティーに出席していたことが発覚。謝罪したものの、野党に加え与党・保守党からも辞任要求が相次ぎ、幕引きには程遠い状況だ。
首相は13日、家族が新型コロナに感染したとして、予定していた地方視察を取りやめた。自らの政府が定めたルールに忠実に従った格好だが、「ルール違反」のパーティー参加に、国民の怒りは謝罪後も収まっていない。13日夜には、昨年4月のエリザベス女王の夫フィリップ殿下の葬儀前夜にも官邸でパーティーが開かれていたという新疑惑も報じられた。
首相が率いる保守党への逆風も強まっている。調査会社ユーガブの最新世論調査で、保守党の支持率は28%に下落し、最大野党・労働党に10ポイントのリードを許した。13年以来の劣勢という。
首相は12日、官邸中庭での20年5月のパーティーに約25分間出席したと認め謝罪。しかし、「仕事のイベントだと思った」と釈明したことが火に油を注いだ。ソーシャルメディアでは、パーティーの写真に「仕事のイベント」の説明書きを添える冗談が流行。酒店の看板を「オフィス用品店」と書き換える画像も出回った。
保守党内の一部議員は、党首(首相)の不信任投票を要求する考えを表明。党の規定では、所属下院議員の15%(現在は54人)が求めた場合、不信任投票が実施される。
当面の焦点は、一連の官邸内のパーティー疑惑を調べている内部調査の結果だ。月内にも公表される調査結果次第では、さらに多くの議員が不信任に雪崩を打つ可能性がくすぶる。それを乗り切ったとしても、5月の地方選に向けて政権運営は厳しさを増しそうだ。
こうした事態を受け、英ブックメーカー(賭け屋)は首相の辞任時期をめぐる賭けの倍率を大幅に修正。大手ウィリアム・ヒルは「年内」の賭け率を1・4倍に切り下げ、最有力シナリオと予想した。後継候補として有力視されるスナク財務相、トラス外相らの動向にも注目が集まっている。(ロンドン時事)