ダビド・サッソリ欧州議会議長が死去、65歳


ジャーナリスト出身の情熱家、欧州議会の権限を強化

ダビド・サッソリ欧州議会議長が死去、65歳

サッソリ議長(AFP時事)

 欧州議会のダビド・サッソリ議長(65)が11日、死去した。同氏は、免疫系の深刻な合併症のため、先月イタリアの病院に入院し、2週間公務を停止していた。

 サッソリ氏はイタリア・フィレンツェ出身の元ジャーナリストで、テレビのニュース番組の司会者も務めた後、イタリアの中道左派の政治家に転身。2019年7月に欧州議会(705議席)の議長に就任した。

 就任時に同氏は、欧州連合(EU)を戦争とナショナリズムから平和と平等に置き換えるEU建国の父の精神に戻るよう求める演説を行った。EUは、執行機関である欧州委員会の権限が強過ぎるとの批判を受け、民主的手続きを重視するため欧州議会の権限を強化した。20年12月に大筋合意したEUと中国の包括的投資協定(CAI)を検討不十分として棚上げしたのも欧州議会だった。

 昨年9月、同氏はレジオネラ菌による重症の肺炎のため、ストラスブールの病院で治療を受けていた。11月から政務に本格復帰したが、病状が悪化し12月26日に入院していた。

 欧州委員会のフォンデアライエン委員長は二人三脚でEU運営を行ってきただけに「サッソリ氏は情熱的なジャーナリストであり、並外れたEU議会議長であり、とりわけ親愛なる友人だった」とツイートした。欧州理事会のミシェル議長は「誠実で情熱的なヨーロッパ人」と追悼した。

 欧州メディアは、多くの人々がサッソリ氏に敬意を表していたと報じた。後任議長の選出投票は、今月下旬に予定されており、サッソリ氏は自身の再選を望まないことを表明していた。(パリ安倍雅信)