消防防災ヘリ、自治体同士の共同運航普及へ


総務省消防庁、モデル事業実施し有効な運行体制を提示へ

消防防災ヘリ、自治体同士の共同運航普及へ

総務省消防庁が高知県に配備している消防防災ヘリコプター「おとめ」(総務省消防庁提供)


 
 総務省消防庁は、自治体同士による消防防災ヘリコプターの共同運航の普及に向け、検討に乗り出す。複数保有することにより、機体を使った操縦士の訓練を行いやすくするほか、点検時期を調整して運休期間の解消につなげる。2022年にモデル事業を実施し、各自治体の参考となる運航体制を示す。

 消防庁は、保有するヘリや操縦士の数、共同運航の意向などを尋ねるアンケート調査を行い、モデル事業に参加する自治体を選ぶ。都道府県と政令市、都道府県同士といった組み合わせを想定。有識者検討会を設けて助言を得ながら事業を進め、どのような共同運航の在り方が有効なのかを探る。

 検討会では、訓練の実施方法や活動に使う資機材の操作手順が自治体によって異なるなど、共同運航を実施する上での課題を抽出。22年度末までに、こうした課題を解消して導入が可能となる体制の作り方を示す予定だ。

 全国の都道府県や政令市に配備された消防防災ヘリは、21年4月現在で77機。空からの消火活動や災害時の救助、情報収集などに当たっている。

 近年は高度な技術を備える操縦士が不足しており、人材の育成・確保が急務。機体の点検で数カ月間運休することもあり、災害時に迅速な対応ができない恐れもある。一方で、共同運航の実施は一部にとどまるため、普及策を検討することにした。