香港メディア「立場新聞」幹部ら逮捕、廃刊に
「扇動的出版」容疑で、著明女性歌手の何韻詩氏も逮捕
香港警察は29日、扇動的な出版物発行の共謀容疑で、民主派寄りの報道で知られるネットメディア「立場新聞」の幹部ら7人を逮捕した。著名女性歌手の何韻詩(デニス・ホー)氏も含まれる。同紙は同日、廃刊を発表した。
昨年の国家安全維持法(国安法)施行後、香港メディアが廃刊に追い込まれるのは、今年6月の日刊紙・蘋果日報(リンゴ日報)に続き少なくとも2例目。警察の国家安全維持部門は29日、200人以上を動員して立場新聞のオフィスを捜索し、当局は関連資産6100万香港ドル(約9億円)を凍結した。
蘋果日報の廃刊後、立場新聞は過去の読者投稿を削除し幹部の退陣を表明するなどの対策を講じてきたが、当局は同紙の報道自体を問題視。29日午後に会見した警察幹部は、逮捕理由について「2020年7月から今年11月、香港政府や司法への憎しみを引き起こす文章を発表した」と説明した。
立場新聞発行元の元役員でもある何氏は、14年の民主派による大規模デモ「雨傘運動」に参加。19年に大規模デモが発生した際には、米議会の公聴会で民主派への支援を訴えた。
香港司法当局は28日、蘋果日報創業者で国安法違反罪に問われている黎智英氏を、同様に扇動的な出版物発行の共謀罪で追起訴している。(香港時事)