羽生結弦が全日本選手権連覇、貫禄を示す
クワッドアクセルに挑戦、大技決まらずも夢へ一歩前進
会場を埋めた観客が固唾をのんで見守った。羽生が試合で初めて跳んだ前人未到のクワッドアクセル(4回転半ジャンプ)は、両足での着氷になった。回転が足りず、出来栄え点(GOE)も3・89点の減点だった。
高さも、回転の速さも求められるレベルが変わる。「10割というか11割くらいの力で(体を)回して、ぎりぎり4分の1(回転)足りないくらいでこけるみたいなことはある」。軸のつくり方も他のジャンプと勝手が違い「(回転と軸を)両立したものは、ちょっと難しい」と話していた。
ただ、今回の4回転半で見せたジャンプの浮き上がりと軸には羽生らしい美しさがあり、可能性を感じさせた。練習できれいに降りたことがない中、全日本で挑んだことは、夢へ近づくための一歩になったことは間違いない。
意を決して冒頭に組み込んだ大技を失敗しても、演技を高い水準でまとめるのが羽生のすごさ。「楽曲とプログラムに、ちゃんとリスペクトを持った上でできたのでよかった」。フリー、合計とも自己ベストに迫る得点で連覇を果たした。
「腹をくくった」と出場への意志を示した北京五輪の開幕まで1カ月余り。94年ぶりの男子3連覇が懸かる舞台にゴールはあるのか。「これからも頑張ります」。王者の挑戦は続く。