バイデン大統領、強制労働阻止「あらゆる手段」
米ウイグル禁輸法が成立、世界各地の企業に影響波及へ
中国の人権侵害を理由に新疆ウイグル自治区からの輸入を全面的に禁止する「ウイグル強制労働防止法」が23日、米国で成立した。180日後の2022年6月下旬に発効する予定だ。北京冬季五輪を控える中国に人権問題で最大級の外交圧力を加える狙いで、日本を含め世界各地の企業が影響を被りそうだ。
バイデン大統領は法案に署名後、ツイッターに「強制労働をなくすため、あらゆる手段を行使し続ける」と投稿。米国が認定する新疆ウイグル自治区でのジェノサイド(集団虐殺)の阻止に向け、先進7カ国(G7)を軸に多国間連携を図る決意を表明した。
同法は新疆ウイグル自治区で「全部または一部」が生産された製品の米国への輸入を原則禁止。輸入企業に対し、強制労働に関与していない証拠の提示を義務付けた。米政府は発効までに重点審査品目や強制労働に関わる企業などの制裁リストを明示。同自治区以外を経由した迂回(うかい)輸入品にも目を光らせる。
ただ、輸入企業による産地の追跡や調達網の見直しは容易ではなく、事業戦略の見直しを迫られる企業が出てくる可能性がある。ウイグル問題に絡んだ米政府の制裁対象は現在、綿製品や太陽光パネル材料などに限られているが、発効後は大幅に広がるため、日本の「ユニクロ」製シャツの輸入差し止めといったケースが相次ぐ恐れもある。
一方、ウイグル族弾圧を否定する中国は猛反発し、「中国の内政に乱暴に干渉したものであり、強烈な憤慨と断固とした反対を示す」(外務省報道官)と、報復も辞さない構えを見せている。中国は今年6月、外国による対中制裁に反撃するための「反外国制裁法」を導入しており、米中対立がエスカレートしかねない。(ワシントン時事)