世界初、神戸の病院で2心室修復手術に成功
難病の2歳男児が退院、「感謝の気持ちでいっぱい」と父
先天性の重い心臓病を患った2歳の男児が、左心室と右心室を修復する世界初の手術に成功し、19日に兵庫県立こども病院(神戸市)を退院した。男児は佐藤空斗ちゃんで、母親の奈美さん(25)は「心配で仕方なかった。ゆっくりでいいから成長してくれたらいいな」と笑顔を見せた。
空斗ちゃんは出生前の画像診断で心臓に異変が見つかった。生後、大動脈弁欠損や大動脈弓離断症など四つの先天的疾患があると診断され、生まれた翌日から4回にわたる手術を受けた。
大動脈弁欠損は、心臓内で血液の逆流を防ぐ弁が生まれつき欠損している難病で、病院によると1975年以降、報告されたのは世界で22例。手術が成功したのは空斗ちゃんで3例目で、世界で初めて左心室と右心室両方が修復され、健康な心臓とほとんど同じ血液循環を可能にした。
執刀した大嶋義博手術部長は「技術的に難しい手術ではないが、早期かつ正確な診断のおかげで救うことができた」と話し、父親の和雄さん(24)は「助けていただいてありがとうという感謝の気持ちでいっぱい」とうれしそうに語った。