映画「私はいったい、何と闘っているのか」


中間管理職の悲喜こもごも、つぶやきシローの小説を映画化

映画「私はいったい、何と闘っているのか」

万年主任こと伊澤春男を演じた安田顕 ©2021つぶやきシロー・ホリプロ・小学館/闘う製作委員会

 地域密着の地元スーパーウメヤの万年主任・伊澤春男(安田顕)。勤続25年の45歳。「よかれと思って」常に行動するが、結果が伴わない。仕事や家族に挟まれて一人空回りする日々を送っている。春男の頭の中では、常に「何かと闘っている」妄想が渦巻いていた。

 そんなある日、春男を「店の司令塔」と言って信頼していた上田店長(伊集院光)が倒れ息を引き取ってしまう。次の「店長か」と仲間たちから期待を寄せられるが、ある出来事をきっかけに暗転。よかれと思ってやったことが裏目に出てしまい、店長の話も立ち消えに。それでも、妻の律子(小池栄子)、長女の小梅(岡田結実)、次女の香菜子(菊池日菜子)、長男の亮太(小山春朋)は、春男に寄り添うという。春男は、家族に支えられ一歩を踏み出していく。

 映画「私はいったい、何と闘っているのか」は、日々の日常を送る中で起こりえる話がつづられている。さらに娘を持つ親ならば、少々身につまされるエピソードも盛り込んだ「ハートフルコメディー」作品だ。

 原作は、お笑い芸人つぶやきシローの同名小説。監督は、李闘士男監督。主人公春男を演じた安田とは映画「家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。」でも監督、主演でコンビを組んでいる。

 春男の妻・律子を小池栄子が演じている。3人の子供を持つ母親の裏にある過去の事情も描かれているが、現在と過去をつなぐ演技に監督も「小池さんがいたからこそ、この作品は活きている」と評価している。

 そのほか、店員役として登場するタレントのファーストサマーウイカの無表情で常にクールに周囲を見ている姿は、いい意味で作品にインパクトを与えている。

 共演者に伊集院光、白川和子ほか。

 公開は、12月17日より全国ロードショー。

(佐野富成)