首相が公邸へ引っ越し、野田氏以来9年ぶり
「公務に専念するため」「家族との時間は大事にしたい」
岸田文雄首相は11日、裕子夫人ら家族とともに、東京・赤坂の衆院議員宿舎から首相官邸の隣にある首相公邸に引っ越した。公邸に首相が住むのは民主党政権の野田佳彦氏以来9年ぶりだ。
首相は公邸入りの際、記者団に「日本のさまざまな課題を考えると、新鮮ながらも心の引き締まる思いだ」と強調。転居の理由は「公務に専念するため」と説明し、危機管理の上でも意味があると指摘した。
また、「家族もできるだけ一緒に過ごしたい。家族との時間は大事にしたい」と語った。
赤坂議員宿舎には11日昼すぎ、首相の地元である広島県の運送会社のトラック2台が到着。作業員らが約4時間かけ、段ボール箱やゴルフバッグを次々に積み込んだ。首相は作業が終わった夕方に公用車で公邸へ。首相周辺によると、宿舎は完全に引き払うという。
現在の公邸は戦前に建てられた旧官邸を改修する形で2005年に整備された。1936年の二・二六事件などの舞台となった歴史もあり、「幽霊が出る」などとまことしやかにうわさされている。安倍晋三元首相、菅義偉前首相らは入居しなかった。