ソロモン諸島でデモ暴徒化、親中路線に反発か
ソガバレ首相の退陣を求めるデモ、豪は治安部隊を派遣
南太平洋の島国ソロモン諸島の首都ホニアラで24日、ソガバレ首相の退陣を求めるデモが行われ、一部が暴徒化した。政府は事態収拾を図ろうと36時間の外出禁止令を発令したが、25日も暴動が続き、オーストラリア政府は治安維持部隊を派遣した。反政府デモは、台湾とのつながりが深い一部州と中国寄りの政策を進める政権との対立が背景にあるとみられる。
現地報道によると、24日、警察署などが放火され、中華街では略奪が起きた。警官隊が催涙ガスで応戦し、首都は大きな混乱に陥った。ソガバレ氏は同日夜、26日朝までの外出禁止令を発令し「政府は破壊行為の背後にいる人物を見つけようと取り組んでいる」と強調したが、25日も首都では略奪や放火が相次いだ。
豪政府はソロモン政府の要請を受け、警察と軍合わせて100人以上を派遣すると決定。モリソン首相は記者会見で「目的は治安と安定を提供することだ」と強調した。
24日のデモは、首都のあるガダルカナル島とは別の島々で構成されるマライタ州の住民らが主導。地方の意向を無視した中央政府の政策に不満を募らせている。同州のスイダニ州長は、政府が2019年に台湾と断交して中国と国交を樹立したことに反発するなど、親中路線の現政権に批判的な立場。昨年9月には、同州の独立の是非を問う住民投票を実施する方針を表明し、物議を醸した。(シドニー時事)