感謝祭休暇の「大移動」が復活、感染増の恐れも


ほぼコロナ前の水準に、ワクチン接種を強く呼び掛け

感謝祭休暇の「大移動」が復活、感染増の恐れも

23日、米ロサンゼルスの空港で移動する旅行者(AFP時事)

 米国で感謝祭の休暇期間入りに伴い、帰省や旅行のための大規模な人の移動が始まった。新型コロナウイルス流行の影響で落ち込んだ昨年に比べて旅行者が増え、国全体がにぎわいを取り戻しつつある。一方、一部の州で感染者数が再び増加傾向にあり、政府はワクチン接種を強く呼び掛けている。

 運輸保安局(TSA)は19~28日の休暇期間中、空港での保安検査数が約2000万人に上り「パンデミック(世界的大流行)前の水準に近づく」と想定。全米自動車協会(AAA)も前年比13%増の約5340万人が休暇期間中に旅行し、コロナ禍前の95%程度まで回復するとの見通しを示した。

 昨年は旅行自粛を要請した保健当局も、今年は「ワクチンを打っていれば家族との休暇を楽しめる」(ファウチ国立アレルギー感染症研究所長)とお墨付きを与えている。

 ただ、人出の増加による感染再拡大の不安は付きまとう。米国では夏のデルタ株流行により、7日間平均で見た1日当たりの新規感染者数が9月に16万人超に急増。10月にいったん6万人超まで落ち着いたが、室内にこもりがちになる冬場を迎え、再び10万人近くに増え始めた。

 ファウチ氏は「ワクチン未接種者が主な感染源になっている」と指摘。米国では12歳以上のワクチン接種完了者が69・1%と伸び悩んでおり、当局は接種完了者が追加で受ける「ブースター」を含め、ワクチン接種を改めて促している。(ワシントン時事)