オリックス劇的勝利、「最後まで諦めるな」結実


序盤から重苦しい展開も、吉田正尚が殊勲の逆転サヨナラ打

オリックス劇的勝利、「最後まで諦めるな」結実

9回、サヨナラの適時二塁打を放つオリックスの吉田正=20日、京セラドーム

 日本シリーズが始まる前、オリックスのT-岡田が言った。「ホームで(第1戦を)できるのは大きい。塁に出れば、球場の雰囲気ががらっと変わる」。その言葉通りの劇的な幕切れとなった。

 2点を追う九回。先頭紅林の安打に続き、代打ジョーンズが粘って四球を選んだ。中嶋監督は「あれがかなり大きかった。ぱんぱんと空振りした後にしっかり見送って」。相手の抑えマクガフを精神的に追い詰めた。

 中嶋監督が口酸っぱく言い続けてきたのが「最後まで諦めるな」。九回無死満塁から同点打を放った宗は「最後まで何があっても勝つ気でいる。どれだけ点を取られても」と言っていた。

 追い付いた直後は、吉田正が初球を仕留めて中堅越えのサヨナラ打。仲間から「ウオーターシャワー」を浴びて、何度も拳を突き上げた。いつもは冷静な吉田正も「しびれましたね。僕もファンの人も(夜)寝られるか心配」。興奮冷めやらぬ様子だった。

 絶対エースの山本が本調子ではなく、序盤から重苦しい展開。八回に勝ち越されたが、土壇場でひっくり返した。中嶋監督は「なかなかないサヨナラだね」。25年ぶりの日本一へ、ぐっと勢いがつくスタートを切った。