フランス大西洋沿岸でタコが豊漁、温暖化一因か


輸出増を喜ぶ業者、ホタテやカキの捕食被害に懸念も

フランス大西洋沿岸でタコが豊漁、温暖化一因か

フランス西部ブレストの水族館のタコ=2018年3月(AFP時事)

 フランス西部の大西洋沿岸でこのところ、例年見られないほどタコが豊漁だ。地元の漁業関係者は仏メディアに「なぜこんなに増えているのか分からない」と口をそろえる。原因は不明だが、専門家は地球温暖化が背景にある可能性を指摘。タコが捕食するホタテやカキの減少も懸念されている。

 パリジャン紙によると、西部ロシュフォール沖にあるオレロン島の漁師は10月下旬、「タコは普段2日間で20匹程度だが、最近は700キロぐらい取れた」と説明。島の漁港責任者、デュボワ氏は「昨年1年間で1・8トンだった漁獲量が、今年はもう32トンを超えている」と驚きを隠さない。

 西部ブルターニュの海洋生物学者、デュブルイユ氏は同紙に対し、温暖化の影響で「水温がそれほど低くなく、繁殖しやすかったのかもしれない」と推測した。ただ、過去にもっと水温が高かった年にタコが急増した例はなく、漁業関係者は首をかしげている。

 フランスでは南部以外でタコを食べる文化が一般的でなく、漁獲されたタコの大半はスペインやイタリアに輸出されるという。

 一方で、フランス人が好んで食べるカキやホタテが、増え過ぎたタコに捕食され、激減する恐れも指摘されている。デュボワ氏は「タコの漁獲量を増やして調整するしかない」と述べた。(パリ時事)