フィギュアの鍵山優真、イタリアGP逆転優勝
無欲で好演しフリー自己ベスト更新、学び多い大会に
7位に沈んだ男子SPの結果を引きずったまま、鍵山はフリーの日を迎えた。公式練習後、コーチでもある父、正和さんに「ただひたすら練習してきたことを頑張るだけ」と言葉を掛けられ、切り替えることができた。
習得を目指している4回転ループは組み込まず「できることを一つ一つやる」と足元を見据えた。SPでミスの連鎖の引き金となった冒頭の4回転サルコーを決めて波に乗り、7度のジャンプは全て成功。銀メダルを獲得した昨季の世界選手権で出したフリーの自己ベストを7点近く更新した。
4回転トーループは2本跳び、3回転との連続ジャンプは出来栄え点(GOE)で3・26点もの加点を得た。最後のトリプルアクセル(3回転半)を終えると「うれしくて、思わず笑みがこぼれてしまった」。無欲で好演を引き出した。
「挑戦する立場で、思い切りやることだけ考えた。いい経験だった」と振り返る。SPで崩れる怖さを知り、フリーでは昨季のような、がむしゃらさを取り戻した。18歳が臨んだ初の海外GP。逆転優勝という結果以上に、学びの多い大会となった。(トリノ時事)