水没の危機ツバルなど要望、「即時行動」を


英グラスゴーでCOP26、先進各国には「道徳上の責任」

水没の危機ツバルなど要望、「即時行動」を

国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)の会場で、温暖化危機を訴える展示物の前で撮影に応じるツバルのセベ・パエニウ財務相=2日、英グラスゴー(時事)

水没の危機ツバルなど要望、「即時行動」を

ツバル

 2日閉幕した英グラスゴーでの国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)首脳級会合では、各国が相次いで対策強化を表明する一方、温室効果ガス排出削減方針をめぐり温度差も露呈した。温暖化による海面上昇で水没の危機にさらされる島国ツバルをはじめ小国からは、排出量の多くを占める先進国などに対し「約束だけでなく即時行動」を促す声が聞かれた。

 南太平洋に位置し、九つの島・環礁で構成される人口約1万人の小国ツバル。国土の平均海抜は2~3メートル程度と海面上昇の被害を受けやすい。温暖化で「最初に沈む国」になる危険性があると言われている。首都フナフティは既に4割が海面下にあるという。

 COP26会場に設けられたツバルの展示ブースには、温暖化被害を象徴するため、小さくなった氷河の上に追いやられたシロクマたちや、死にそうな様子のペンギンの人形が置かれていた。

 ブース内でセベ・パエニウ財務相に母国の状況を尋ねると「海面上昇で国土が失われている。埋め立て地を造っているが、(年々加速する)温暖化との競争だ」と厳しい表情。住む土地を奪われることに住民の懸念は強く「二酸化炭素排出量の少ないわれわれが海の中に沈み、文化が失われる。不正義だ」と憤りをあらわにした。

 温室ガス排出の多い中国が2060年、インドは70年までに排出実質ゼロを掲げていることを挙げ「遅過ぎる。われわれは既に温暖化の現実の中で生きることを余儀なくされている。今行動を起こさなくてはならない」と語気を強めた。

 日本など先進各国に対し、被害国を支援する「道徳上の責任」があると主張。地球を守るため「もっと野心的な気候変動対策」を打ち出すよう求めている。(グラスゴー時事)