手頃で味良し、秋サケ不漁でマスイクラに脚光
豊洲市場の仲卸が味に太鼓判、飲食店などで使われ身近に
秋サケの不漁でイクラが品薄となり、マスの卵に注目が集まっている。イクラはサケの卵が一般的だが、今となっては高根の花。見た目などに大きな違いがなく、価格も手頃な「マスイクラ」が普及しており、人気も上々だ。
マスの卵は、北海道などで漁獲される秋サケの卵よりも一回り小さいのが特徴。今年は親魚が主産地のロシアで豊漁といい、東京・豊洲市場(江東区)にも多く入荷している。同市場の仲卸は、秋サケのイクラと比べても、色や形だけでなく「とろけるような食感や濃厚な甘味はほぼ遜色がない」(吉善)と太鼓判を押す。
値段もかなりお得だ。同市場の卸値は、ロシア産のマスからとったしょうゆ漬けイクラが1キロ当たり6000円前後と、秋サケのイクラよりも約4割安い。近年は回転ずしなどの飲食店のほか、テークアウト向けのすしや海鮮丼などに使われるほど身近になっている。
秋サケの記録的な不振により、代替品として脚光を浴びるようになったマスのイクラ。北海道の加工業者が製造を手掛けていることが多く、味付けや凍結技術の向上により「以前に比べて味や品質が格段に良くなった」(豊洲の卸会社)という。
粒が大きい秋サケのイクラは、北海道での赤潮被害の影響などもあって高騰しているが、高級すし店からの需要は依然として根強い。ただ、家庭の食卓からは遠ざかっており、「リーズナブルなマスのイクラをぜひ味わって」(同)と話している。