米中が舌戦を展開、ASEANに「秋波合戦」


各国は主導権争いを警戒、中国はTPP加入へ指示求める

米中が舌戦を展開、ASEANに「秋波合戦」

27日、オンラインで行われた東アジアサミットに臨むバイデン米大統領(中央)と中国の李克強首相(左上)(東南アジア諸国連合=ASEAN=事務局提供・時事)

 東南アジア諸国連合(ASEAN)が26~28日にオンラインで開いた一連の首脳会議で、米国と中国が競うようにASEANを重視する姿勢を強調した。米中は一方で、中国が海洋進出を強める南シナ海をめぐり、舌戦を展開。ASEAN各国は域内を舞台にした米中の主導権争いに巻き込まれることに警戒を強めている。

 トランプ前米大統領はアジアを軽視し、就任した2017年はASEANとの首脳会議に臨んだものの、東アジアサミットは欠席した。その後は首脳会議も東アジアサミットも出席しなかった。

 バイデン大統領はアジアにおける米国の空白を埋めるかのように、米国とASEANの「戦略的パートナーシップ」の重要性を強調。「ASEANはインド太平洋の地域構造に不可欠」と持ち上げ、新型コロナウイルスや気候変動の対策に充てる総額1億200万ドル(約116億円)の支援を表明した。

 一方、中国は環太平洋連携協定(TPP)加入に向け、ASEANへの働き掛けを強めている。李克強首相はASEANとの首脳会議で「中国は加入申請した。ASEANの支持を望む」と明言した。

 TPPにはASEANからベトナムとブルネイ、マレーシア、シンガポールが加わる。中国はこのうち、特にベトナムと南シナ海の領有権をめぐり対立関係にあるが、李氏は「南シナ海の平和は中国とASEANの共同利益。(紛争防止に向けた)『行動規範』を早期に妥結させ、南シナ海を平和の海にしたい」と歩み寄りの姿勢を見せた。

 中国は11月にはASEANとの対話関係開始から30年となるのを記念する首脳会議をオンラインで開き、習近平国家主席が出席する予定だ。(バンコク時事)