スーダンでクーデターか、暫定政権を解散
軍がハムドク首相ら拘束、反対する市民の抗議デモと衝突
民政移管に向け軍民共同統治が行われていたスーダンで25日、暫定政権のハムドク首相が軍に拘束された。移管を担ってきた統治評議会のブルハン議長は演説で、同評議会と暫定政権の解散を宣言。全土に非常事態を発令すると表明した。権限掌握を狙った軍によるクーデターとみられる。
ブルハン氏は、2019年に署名された軍民統治を定めた合意が「平和を脅かす闘争を招いた」と主張。「軍は国家の安全を守る必要がある」と軍の対応を正当化した。一方で、23年7月の選挙実施を公約し、それまでは「民政移管の作業を続ける」と強調した。
情報省がフェイスブックで公表した声明では、ハムドク氏は軍の行動への賛同を拒否し、夫人と共に自宅から連行された。ハムドク氏の軟禁先は不明だが、国民向けに「街頭に繰り出し平和を守ってほしい」と訴えた。暫定政権の閣僚数人や、軍に批判的だった統治評議会メンバーらも拘束された。
現地の報道によると、首都ハルツームや近郊では兵士が展開して主要道路を封鎖。国営メディアの施設も兵士に占拠され、職員らが拘束されたという。軍の統治に反対する市民は抗議デモを実施し、軍施設近くでは市民と治安部隊が衝突して負傷者が出た。デモ隊排除のために実弾が発砲されたという報道もある。
スーダンでは19年4月、30年に及んだバシル独裁政権がクーデターで崩壊した。同8月には陸軍出身のブルハン議長、経済学者で国連出身のハムドク首相がそれぞれ就任したが、その後も権力争いや国民の生活苦で混迷が長期化。今年9月には、バシル政権とつながりのある軍将校ら多数がクーデターを計画していたとして拘束された。(カイロ時事)