ゴルフ中島啓太、表情崩さずプレーオフを制す
アマチュアのツアー優勝は5人目、世界を視野に攻め抜く
中島は少しも表情を崩さなかった。18番(パー3)でのプレーオフ1ホール目。永野が第1打でグリーンを外し、ボギーとした。「本当は心臓の音が聞こえるぐらい緊張していた」。フッと息を吐くと、落ち着いて短いパーパットを沈めた。
アマチュアとして史上5人目の男子ツアー優勝。石川遼、松山英樹らそうそうたるメンバーに加わって名を連ね、「後に続けて光栄」と喜んだ。
69、68、65、そして68。堂々たるスコアメークの背景に、高い意識がある。来年のマスターズ・トーナメントにつながる11月のアジア・パシフィック・アマ選手権(アラブ首長国連邦)を念頭に、今大会はパー3を除く14ホールでドライバーを握ることをノルマとした。
世界で戦うには飛距離が必須。「刻もうかと頭によぎったこともあったけど、ぶれずに4日間やり切れた自分を褒めたい。優勝争いの緊張した中で振り抜けたことは、自信になる」。攻めながらも着実にフェアウエーをキープ。それが収穫だ。
大学卒業まではアマを続ける意向だが、当然ながらプロを目指す。タイガー・ウッズに憧れ、6歳の頃に父親にねだってゴルフセットを買ってもらった。「夢は世界中で応援されるようなゴルフをすること」。大物のオーラを漂わせる21歳が、キラリと目を輝かせた。