アフリカでワクチン格差一層拡大、接種完了3%


ブースター接種を控え途上国に、公正な分配を呼び掛け

アフリカでワクチン格差一層拡大、接種完了3%

24日、南アフリカ東部ダーバン近郊で、家族に連れられてワクチン接種を受ける盲目の女性(AFP時事)


 
 日本など先進各国で新型コロナウイルスのワクチン接種完了者が増え、追加投与する「ブースター接種」の動きも進む中、アフリカをはじめ途上国では依然供給不足の状態が続いている。世界保健機関(WHO)は接種率の高い国々に対し、ブースター接種を控えて途上国への供給を増やすよう訴えているが、ワクチン格差は拡大する一方だ。

 英オックスフォード大研究者らのデータベース「アワー・ワールド・イン・データ」の23日時点の集計によると、先進7カ国(G7)はワクチン2回接種率がいずれも人口の5割を超えた。人口比で最も高いのはカナダの約70%。イタリアと英国、フランスが60%台半ばで、日本は米国とほぼ並ぶ約56%。各国は冬を前に予防効果を高めようとブースター接種の動きを加速させており、英仏は既に開始。米国も高齢者らを対象に計画に着手した。

 一方、WHOによると、アフリカ諸国で9月中旬までに2回の接種を終えた人は5000万人で、全人口のわずか3・6%。各国政府は途上国向けワクチンの国際的調達枠組み「COVAX(コバックス)」や2国間援助を通じてワクチン調達を急いでいるが、供給不足が続き、行政上やインフラの問題から接種の態勢が整わない国も多い。WHOは「アフリカでの年内接種完了率4割」を目標に掲げるが、達成は絶望的だ。

 グテレス国連事務総長は21日の国連総会演説で「裕福な国では大半の人が接種を完了したが、アフリカでは90%以上の人々が1回目の接種を待っている」と指摘。ワクチン格差は「政治的意志の欠如と利己主義、不信感が生じさせた悲劇だ」と訴え、公正な分配へ各国の努力を促した。(ロンドン時事)