天安門事件犠牲者の追悼団体、解散が正式決定
香港民主派の中核的存在、当局の圧力で活動継続が困難に
中国で民主化運動が武力弾圧された天安門事件犠牲者の追悼集会を主催してきた香港の民主派団体「香港市民愛国民主運動支援連合会」(支連会)は25日、会員総会で解散を正式決定した。30年以上続いた香港民主派の中核的存在だったが、昨年の国家安全維持法(国安法)施行以降、当局の圧力が高まり活動継続が困難になった。
会員総会では賛成41票、反対4票で解散が決議された。支連会を率いてきた李卓人氏は収監先から会員に向け、「いかなる政権も人々の記憶と良識を奪うことはできない。会の理念は香港市民の心中に継承されており、希望は消えていない」とのメッセージを出した。
支連会は天安門事件が発生した1989年に結成。翌90年から毎年、事件のあった6月4日に集会を開き、中国政府の責任を問い続けたほか、犠牲者の遺品や資料を展示する記念館を運営し、記憶継承に努めてきた。
中国本土ではタブーとなっている天安門事件をめぐる活動は、香港の一国二制度と言論の自由を象徴するものだった。近年台頭した若手民主派の間では、中国への反感から自らを中国人とは異なる「香港人」とみなし、中国本土と香港の民主運動を分けて捉える傾向が強まったが、支連会はあくまで国全体の民主化を追求。中国への「愛国」を掲げ続けた。
昨年以降、当局は新型コロナウイルスを理由に追悼集会を禁止。支連会幹部の逮捕や収監が相次ぎ、記念館も閉鎖に追い込まれた。親中派は支連会の綱領「(中国共産党の)一党独裁終結」が国安法違反に当たると批判を強め、今月には会自体が同法の国家政権転覆扇動罪で起訴されていた。(香港時事)