「ギルガメシュ叙事詩」刻まれた粘土板が返還


湾岸戦争の混乱の中で盗まれる、米からイラクに返還

「ギルガメシュ叙事詩」刻まれた粘土板が返還

「ギルガメシュ叙事詩」が刻まれた3500年前の粘土板=23日、ワシントン(AFP時事)

 人類最古の文学と考えられる古代メソポタミアの遺物「ギルガメシュ叙事詩」が刻まれた3500年前の粘土板が23日、米国からイラクに返還された。湾岸戦争の混乱の中、1991年にイラクの博物館から盗み出されたとみられている。

 米司法当局によると、行方不明だったこの粘土板は2003年になって英国在住のヨルダン人から米美術商に売られた。米国に持ち込まれた後も、偽の証明書と共に07年に5万ドル(約550万円)で、14年には167万ドル(約1億8000万円)で転売されていた。最終的に持ち込まれたワシントンの博物館の学芸員が書類の不備を不審に思い、19年に当局の管理に移されていた。

 ワシントンで開かれた返還式典でイラクのフンマーディ文化相は「イラク社会に自尊心や自信を取り戻したのに等しい」と語った。(ワシントンAFP時事)