中山間の農業と生活を維持、農水省が取組支援へ


草刈りや買い物支援など、農村を守る取り組みに補助金

中山間の農業と生活を維持、農水省が取組支援へ

集落と段々畑=2012年5月、高知県仁淀川町


 
 農林水産省は2022年度、人口減少が進む中山間地域での農業と生活を支えるため、地域ぐるみで農村を守る取り組みへの支援に乗り出す。複数の集落の農家と、自治会や社会福祉協議会をはじめとした地域の関係機関が連携して協議会をつくり、農地の草刈りや買い物支援といった実証事業などに取り組む場合、国が補助する。来年度予算概算要求に関連経費を計上した。

 中山間地域では都市部に比べ人口減少が進んでおり、総戸数が9戸以下となった農業集落も増えている。農水省によると、農地保全などの集落活動は総戸数が10戸を下回ると、急激に実施率が低下する傾向にあるという。

 そこで農水省は、農地や水路などの保全や農業振興と併せ、買い物支援をはじめとした地域コミュニティーの維持に取り組む「農村地域づくり事業体(農村RMO)」を育成する。22年度は、農村RMO形成に向けた体制づくりや、実証事業の支援を始める方針だ。

 具体的には、複数の集落の農家から成る組織などと、地域の関係者が連携し、小学校区程度のエリア内で協議会を設立。地域の将来ビジョンを話し合った上で、具体的な行動計画を策定し、実証事業を進めてもらう。活動内容として、農地の草刈りやインフラの補修、直売所や農家レストランの運営、買い物や子育ての支援などを想定している。こうした取り組みに対し、財政面で手当てする。

 このほか、都道府県がJAやNPOなどと連携したチームをつくり、地域の農村RMOの形成を支援する場合の補助も実施する。