仏のワイン生産量、病害発生で過去最低か
霜害や大雨が影響し前年比29%減、コロナ禍で二重苦
美食の国フランスで、今年のワイン生産量見通しが前年比29%減に落ち込み、1970年の集計開始以来、最低となる見込みであることが明らかになった。農業・食料省によると、原料となるブドウに霜害や大雨による病害が発生したことが原因。仏国内でのワインの売上高は昨年、新型コロナウイルスの感染拡大を受けた飲食店の休業措置などにより減少しており、生産者にとって二重苦となる。
農業省によれば、今年のワイン生産量は33億3000万リットルの見通しで、霜害に見舞われた91年と2017年を下回る。中でもシャンパンを生産するシャンパーニュ地方では、夏に降雨が異常に多かった影響でうどんこ病が発生し、前年比36%減の大幅減となった。
フランスでは新型コロナの感染拡大を受けて昨年3月から今年5月まで断続的に飲食店が休業。昨年は雨が少なく天候に恵まれ、ブドウが豊作だったものの、ワインの消費量は大幅に減少した。シャンパンの品質向上に取り組むシャンパーニュ委員会は「供給過多による価格急落でシャンパンのイメージが低下するのを防ぐため」として、収穫したブドウの一部を廃棄して生産量を調整していた。(パリ時事)