法制審が答申、性犯罪被害者情報を秘匿
氏名住所など刑事手続きで匿名化、刑事訴訟法改正へ
性犯罪被害者の氏名など個人情報が加害者側に伝わることを防ぐため、法制審議会(法相の諮問機関)は16日、起訴状や逮捕状にある被害者の氏名や住所を秘匿できる刑事訴訟法などの改正要綱を上川陽子法相に答申した。
性犯罪の刑事手続きをめぐっては、逮捕状や起訴状に記載された被害者の個人情報を基に、加害者から報復を受ける可能性があるとして、法務省などが匿名化を検討してきた。
答申を受けた上川法相は「改正法案の立案作業を開始する。速やかに国会に提出できるよう準備を進めていきたい」と述べた。
改正要綱によると、秘匿する対象の性犯罪は①強制性交②強制わいせつ③児童買春④児童ポルノ所持-など。これらの刑事手続きでは、容疑者に逮捕状を示したり、被告に起訴状を送達したりする際に、被害者情報が伝わる恐れがある。
改正要綱では、被害者名が入った起訴状の謄本の代わりに、氏名や住所などの記載がない抄本を被告側に送達。逮捕状も被害者名などを隠した抄本を容疑者に示すことができる。
また、被害者の家族などが報復を受ける可能性があると認められれば、氏名などを秘匿できる。
一方、被告の弁護士は起訴状の謄本を受け取れるが、氏名や住所などを「被告に知らせてはならない」との条件を付ける。違反した場合、日本弁護士連合会などに「適当な処置」を取るよう求める規定を盛り込んだ。
上川氏はまた、この日の法制審に①戸籍に読み仮名を付ける戸籍法令改正②性犯罪への対応を強化するための法整備の在り方③刑法の侮辱罪の法定刑引き上げ-の3件を新たに諮問した。