アフガンの音楽学校が閉鎖、「魂奪われた」
タリバン復活に生徒ら恐怖、「夢はもう存在しない」
イスラム主義組織タリバンの暫定政権が発足したアフガニスタンで、音楽学校が閉鎖を強いられ、生徒らが行き場所を失っている。2001年までの旧タリバン政権下で音楽や女子教育が禁じられた歴史が繰り返されるのではないかと不安を募らせている。
首都カブールにある「アフガニスタン国家音楽院」。タリバンが先月、首都に進撃した際、ビオラ奏者の女性バハルさん(18、仮名)やクラスメートは恐怖を感じ、自宅に逃げ帰った。バハルさんは「学校に楽器を置いてみんな逃げた。家族の一員を失ったような気持ちだった」と振り返った。
バハルさんは帰宅後、タリバン戦闘員が音楽院を占拠して宿舎にしたと知り、ひどく落ち込んだ。「もはや生きている感じがしない。肉体的には生きているが、タリバンは私の魂を奪い取った」と涙ながらに語った。
講師でギター奏者のアワさん(28、仮名)も「アフガンで音楽に関わっていたら、恐怖を覚えるのは当然だ。遅かれ早かれ、タリバンは音楽家を追及するようになるだろう」と指摘。「私たちには大きな夢があったが、今やもう存在しない」と嘆いた。アワさんはタリバンを恐れ、お気に入りのギター1本を除き、自身の音楽キャリアの痕跡をほぼ消したという。(カブールAFP時事)