上川陽子法相、ネット中傷厳罰化を法制審に諮問


罰則強化を求める声を受け、侮辱罪に懲役刑導入を検討へ

上川陽子法相、ネット中傷厳罰化を法制審に諮問

記者会見で刑法の侮辱罪厳罰化を法制審議会(法相の諮問機関)に諮問することを発表する上川陽子法相=14日午前、法務省

 インターネット上の誹謗(ひぼう)中傷に対処するため、上川陽子法相は14日の記者会見で、刑法の侮辱罪を厳罰化する法改正を、16日の法制審議会(法相の諮問機関)に諮問すると明らかにした。新たに懲役刑などを導入することの是非を議論してもらう。

 侮辱罪の法定刑は、刑法で最も軽い科料(1000円以上1万円未満)か、2番目に軽い拘留(1日以上30日未満の拘置)となっている。法制審には「1年以下の懲役もしくは禁錮、30万円以下の罰金」を追加する案を諮問。法定刑が引き上げられれば、公訴時効も現行の1年から3年に延びることになる。

 上川氏は「インターネット上の誹謗中傷は、取り返しのつかない重大な人権侵害につながるものであり、決してあってはならない」と強調。その上で、法制審に「スピード感を持って充実した審議を期待する」と求めた。

 ネット上の中傷被害は近年、社会問題化している。昨年5月には、民放番組に出演していたプロレスラーの木村花さん=当時(22)=が、インターネット交流サイト(SNS)で中傷され、自ら命を絶った。投稿者2人がそれぞれ、侮辱罪で科料9000円の略式命令を受けたが、「軽過ぎる」などと罰則強化を求める声が上がっていた。