アルミ13年ぶりの高値、ギニア政変で供給懸念
軍がクーデター、高騰が長期化すれば消費者に影響も
アルミニウムの価格が上昇し、約13年ぶりの高値を付けた。原料となる鉱石ボーキサイトの主要生産国ギニアで政変が起き、供給制約への懸念が広がったことが背景。高騰が長期化すれば、アルミを使った製品への価格転嫁などを通じ、消費者にも影響が及ぶ可能性がある。
アルミは飲料缶や自動車などに幅広く使われている。代表的指標となるロンドン金属取引所(LME)のアルミ3カ月物は、8日に一時1トン=2800ドルを突破し、2008年8月以来の高値を付けた。
ギニアでは5日、軍の特殊部隊がクーデターを起こし、コンデ大統領の身柄を拘束。憲法停止と政府の解散、陸と空の国境閉鎖を表明した。軍はその後、ボーキサイトが主要な外貨獲得手段であることを踏まえ、「鉱業会社に操業の継続を要請する。領海線は輸出活動のために開放している」との声明を出した。
現地でボーキサイトの採掘などを行うオーストラリアの鉱業会社リンディアン・リソーシズは声明で「日常業務を継続している」と述べ、操業に支障が出ていないことを明らかにした。ギニアは世界屈指のボーキサイト産出国だが、主な輸出先は中国で、17年時点で日本向けはゼロだった。
アルミ価格はギニアの政変が起こる前から上昇傾向にあった。最大生産国の中国が温室効果ガス排出削減のため、電力を大量に消費するアルミ製錬所に生産制限などを課しているためだ。英調査会社サクデン・フィナンシャルは「供給問題がアルミの強気相場につながっている」と分析している。(ロンドン時事)