「勝手にしやがれ」の俳優ベルモンドさん死去
約80本の映画作品に出演、“偉大な人”惜しむ仏大統領
世界的に知られるフランスの映画俳優、ジャンポール・ベルモンドさんが死去した。88歳だった。ヌーベルバーグの旗手といわれたジャンリュック・ゴダール監督の「勝手にしやがれ」(1959年)で世界的名声を得て、約80本の映画作品に出演し、コメディーからスリラーまで幅広いジャンルをこなし、舞台俳優としても活躍した。
1933年4月9日生まれのベルモンドさんは、パリ西郊外の高級住宅地ヌイイ・シュル・セーヌで著名な彫刻家の父の元で育てられた。一度はボクサーを目指したが成功せず、舞台俳優としてキャリアを始め、戯曲「シラノ・ド・ベルジュラック」で名を知られるようになった。その後、ゴダール監督の映画で世界的に注目された。半世紀にわたり出演した映画での劇場チケットは総計1億3000万枚を記録したとされる。
ベルモンドさんはアクション映画など娯楽映画にも多数出演したが、2001年に脳梗塞で映画撮影中に倒れ、医師は二度としゃべれないだろうと言ったが、克服して話せるようになった。復帰してテレビやドキュメンタリーにも出演していたが、体が自由に動かないため一線を退いた。晩年はパリの自宅で過ごし、盟友の俳優アラン・ドロンさんとテレビ番組に出演することもあった。
ニックネームは主演したスパイコメディー映画「おかしなおかしな大冒険」(邦題、73年)の原題「ル・マニフィック(偉大な人)」。マクロン大統領は訃報を受け、「彼は今後もずっとル・マニフィックであり続ける」とツイッターに投稿し、「いつも明るく国民を元気づけた」と追悼した。(パリ安倍雅信)