国連機関の報告書、気象災害が50年で5倍増
犠牲者の9割は開発途上国、経済損失は400兆円に増加
国連の専門機関、世界気象機関(WMO)は8月31日、報告書を発表し、1970~2019年の50年間で、気候変動や異常気象などを背景に、干ばつや洪水といった気象災害が5倍に増えたと警告した。
この間に報告された1万1000件を超える気象災害で200万人以上が死亡し、経済的な損失は3兆6400億ドル(約400兆円)に上った。
ターラスWMO事務局長は、異常気象が増え、激しくなったのは「気候変動の結果だ」と指摘。「欧州や北米で最近起きている熱波や干ばつ、森林火災はさらに増える」と厳しい見通しを示した。
最も多くの犠牲者を出したのは干ばつで、約65万人が死亡。ハリケーンなどの暴風(死者約58万人)、洪水(同5万9000人)、異常気温(同5万6000人)と続いている。犠牲者の91%以上は開発途上国に集中した。
一方で「早期警戒、防災の進歩」により、50年前に比べ、死者数は3分の1に減少した。ただ、経済損失は増加し、2010年代を通じた損失は1970年代の7倍に上った。(ロンドン時事)