アフガン連続テロ、バイデン米政権に大打撃


共和党「辞任すべき」と追及、世論の不支持も高まる

アフガン連続テロ、バイデン米政権に大打撃

26日、ホワイトハウスで演説中に言葉を詰まらせるバイデン米大統領(EPA時事)

 アフガニスタンの首都カブールで起きた連続テロは、米軍撤退に伴う混乱の影響を最小限に抑えようとしてきたバイデン米政権にとって悪夢のような展開となった。野党・共和党は一段と追及姿勢を強めており、バイデン政権にとって大打撃となることは必至だ。

 バイデン米大統領は26日、ホワイトハウスで演説し、テロ攻撃について過激派組織「イスラム国」(IS)による犯行だと非難。また、「テロリストたちにわれわれの任務を止(や)めさせない」として、引き続き米国人や協力者の退避や米軍撤退を進める考えを強調した。

 しかし、米軍撤退に伴うここ2週間の混乱に加え、今回米兵13人を含む多くの死傷者が出たことは政権にとって大きな打撃だ。米メディアによると、アフガンでの米軍兵士の1日の死者数としては、2011年にヘリコプターが撃墜され30人が犠牲になって以降で最悪だという。

 こうした状況を受け、共和党のジョシュ・ホーリー上院議員は「これはバイデン氏によるリーダーシップの壊滅的な失敗の産物だ。彼に指導する意志も能力もないことは今や痛いほど明らかであり、辞任するべきだ」とバイデン政権の対応を痛烈に批判した。

 今週発表されたUSAトゥデー紙の世論調査では、バイデン氏の支持率は41%で、55%が不支持だった。アフガンからの米軍撤退自体については、53%が支持で反対は38%だったが、バイデン政権による撤退の方法については62%が不支持であり、撤退に伴う不手際に世論の厳しい目が向けられている。

 与党・民主党からも批判の声が上がっており、ジム・ランゲビン下院議員は「大統領は軍が8月31日を過ぎても必要なら、アフガンを去ろうとしているすべての米国人や協力者がそうできるよう留(とど)まることを約束するべきだ」と主張した。

 米国人らの退避についてタリバンの協力に依存する状況の中、バイデン政権が退避を求める米国人や協力者のリストをタリバン側に提供したとポリティコ紙が報じたことも、これらの人々を危険にさらすとして批判を招いた。バイデン氏はこの事実について、記者からの質問に「その可能性もある」と述べ、否定しなかった。

 共和党のマーシャ・ブラックバーン上院議員は、「非常に無謀で恐ろしいことだ」と非難。「バイデン政権は、タリバンに殺害リストを与えた。関係するすべての人は辞任するか弾劾されるべきだ」と訴えた。(ワシントン山崎洋介)