車いすバスケの選手、アフガニスタンを出国
「20年前と変わらない」タリバンの支配を恐れスペインへ
アフガニスタンの車いすバスケットボール女子チーム主将、ニロファル・バヤト選手(28)が、イスラム主義組織タリバンの支配を恐れてスペインに逃れた。国際社会に「アフガンを助けてほしい。タリバンは20年前と変わらない」と訴える。20日にマドリード郊外に到着し、北部ビルバオでAFP通信などに出国の様子を語った。
東京パラリンピックの代表ではない。一方、首都カブールに足止めされていたアフガン選手団の2人はオーストラリアへ出国。24日の開会式には間に合わず「連帯と平和のメッセージ」(国際パラリンピック委員会)としてアフガン国旗の入場が決まった。
カブールは混乱している。バヤト選手は「タリバンが家の近くに来ると、恐怖を感じ、自分や家族の身を案じた」。選手として活躍し、女性の人権活動家としてタリバンについて発言してきた背景から「殺される」と意識したという。
スペイン大使館などの支援で退避用の軍用機に乗れることになった。カブールの空港では、押し寄せる人々をタリバン戦闘員が威嚇。自身はドイツ軍の警護で空港に入ったものの、睡眠も食事もままならず、出発まで炎天下を2日間待たねばならなかった。
1990年代に自宅にロケット弾が着弾。家族は死傷し、2歳のバヤト選手は右脚を失った。「人生が永遠に変わった。私の存在は、タリバンがいかに危険か、アフガンでの暮らしがいかに過酷で困難かを証明している」と強調する。
「体育館でプレーしている時だけは、アフガンで起きていること、自分が障害者であることを忘れられる」
AFPなどにこう話し、スペインで第二の競技人生を歩み始めたい考えだ。(時事)