外国人写真家が見た水俣病「MINAMATA」


主演ジョニー・デップの意欲作、21日に水俣市で先行上映

外国人写真家が見た水俣病「MINAMATA」

実在の写真家ユージン・スミスを演じたジョニー・デップ ©2020 MINAMATA FILM,LLC ©Larry Horricks

 1971年ニューヨーク。米国を代表する写真家ユージン・スミス(ジョニー・デップ)は酒におぼれ、荒んだ日々を送っていた。伝説の写真家と言われていた頃の姿とは思えないほどの荒みぶりだった。古くからの友人のロバート・ボブ・ヘイズ(ビル・ナイ)もあきれていた。そんなある日、アイリーン(美波)と名乗る女性から、熊本県水俣市にあるチッソ工場が流す有毒物質水銀によって苦しむ人々を撮影してほしいと頼まれる。アイリーンと共に水俣に拠点を置き、撮影を始める。ロバートも送られてくる写真に関心を示し始める。

 さまざまな困難を乗り越えながら、公害に苦しむ姿を黙々と撮影していく。

 ジョニー・デップとビル・ナイ、この2人の名前を聞くと思わず『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズを思い浮かべる人が多いかもしれない。

 この2人が、日本の環境問題を考える一つのターニングポイントとなった「水俣病」をテーマにした作品で共演した。写真家ユージン・スミスを演じるジョニー・デップが写した写真を、ビル・ナイが編集長役を演じる雑誌「LIFE」を通して世界に発信するまでを描いた。

 主演のジョニー・デップがユージンの写真を見て、強い関心を示し自らプロデュサーを買って出るなど、非常に意欲的な一作になっている。

 日本人俳優ではスミスの妻アイリーン役の美波ほか、被害者側を代表して企業と交渉するヤマザキ・ミツオ役を真田広之、企業側の代表者ノジマ・ジュンイチを國村準、その他、浅野忠信、加瀬亮など国内外で活躍する俳優陣が出演。

 ロケーションも当時の水俣市の風景に近い場所を探すなど、米国の映画であるにもかかわらず、日本の映画のようなたたずまいを見せている。

 公開は9月だが、それに先駆けて、8月21日に水俣市で先行プレミア上映を予定している。

(佐野富成)